スペイン企業で2年働いてわかったこと

海外で働いてみたいけど、何もわからず不安な方も多いはず。
日本の企業から海外の会社で初めて働く時は戸惑うことだらけ。私も実際そうでした。
探り探りの1年目から、意見も出して任される仕事や責任も増えた2年目、その中でわかったことや感じたことを挙げてみました!

気持ちの持ち方の話が多いですが、これからスペインや海外の会社で働く方の参考になれば幸いです。

目次

仕事への姿勢

超マジメな勤務態度

スペイン人ってシエスタもしてのほほーんとゆったりテキトーに仕事しているイメージが多くないですか?
私はそんなふうに思ってました。

でも実際は全然違いました。一日中無駄話なく、全然喋らないんです。オフィスも基本シーンとしていて、たまに雑談をしている人たちもいますが、結構みんなに丸聞こえのレベルでした。全ての企業がそうではないと思いますが、複数人に聞いたところ同じような状況はあるあるでした。同日入社したスウェーデン人もびっくりして、ありえない!と言ってました。

スペイン人たち、真面目に働いてます。

残業しまくり

こちらも意外だと思われるかもしれません。部署にもよりますが、仕事がなかなか終わらないクリエイティブのデザインチームはかなり残業してました。
一つ目と共通する部分がありますが、その理由はすごく低い雇用率だと思います。
会社側としては、他にいくらでも雇える人材はいるので、真面目に働かない、気に食わない、成果を出せない人間は、簡単に他の人間に取り替え可能なんです。みんなクビにならないように必死で頑張ってます。

正社員の場合はクビにするのが少し大変なので、インターン生を超安く雇って正社員にする可能性をチラつかせて数ヶ月でバッサリ切るとかもあります。
経営者と従業員に全然イコールはなく、経営者側が圧倒的に偉い立場にあります。

数字が重視される

結果重視。プロセスよりも結果が大事。
プロセスの中で成果があったり良いアイディアがあれば、活かせることもあるから評価は0じゃあないんですが、最終的には結果を出せるかどうかが大事です。

自分は会社にとって「コスト」であると認識しましょう。自分の給与にいくら払っていて、自分によってどれだけ利益を出しているか考えましょう。売り上げが直結しない部門でも数字を見ることを重視していたので、月一の会社全体ミーティングでは、毎回前月の目標と売り上げの差、今月の売り上げ目標など話していました。

助けを求めたら何かしら返ってくる

静かで話しにくいオフィスではありますが、スペイン人は基本人情多めだったり、優しい人も多いので困ってたら自分でちゃんと助けを求めれば教えてくれたりサポートしてくれます。
ここで勘違いしてはいけないのは、「XX困ってるの」と言って、つきっきりのサポートを期待するのではなく「XXに困ってて、こういう情報や助けが必要なの」ということ。何をして欲しいのか明確にしないと相手もサポートできません。

苦戦してるのは外国人だけじゃない

自分が外国人で言葉も不自由で、大変なのかと思ってたのですが、よくミーティングで話を聞いてると、自分だけじゃなくてスペイン人の先輩でも新しいプロジェクトや、上司の説得に苦戦してることがあるのに気づきました。
スペイン人でも新入社員は戸惑っていることも多い。

「質問」をするのが「義務」

これは本当に大切です。わからないことがわからないレベルのことが多いんですが、どんどん質問して概要を掴んでいくのは自分の義務です。これはスペイン人の同期の子に言われた言葉で、結構衝撃的でした。受け身だと生きていけません。

根気も必要。質問10に対して返事は3くらいしか返ってこないので、大事なら全部わかるまで何度でも聞くことが必要です。スペイン人にとっては根気ってレベルじゃないのかもだけど日本人にとっては根気が必要なプロセスです。できたら聞いておきたいけど、聞いたところで変わらないことはしつこく思われるだけなので諦めましょう笑

また、全部の答えが出てから動き出すよりは、ちょっとわからないことがあっても進めておくことも大事です。

裁量が大きい

私は基本日本マーケットの担当で、社内で唯一の日本人、アジア人だったので、日本の会社やお客にとって会社の代表として話をしたり、PRで顔を出す必要がありました。

また上司は「私は日本語や文化がわからないから、あなたが決めるのよ」と基本は自分が意思決定をすることが多かったです。どの代理店を使うか、どの広告にお金をかけるかなど。

もちろん悩んだ時は相談はできますが「オプション1はこういう条件でこの価格、オプション2こういう条件でこの価格」などちゃんとまとめることが必要です。

ミーティングが短く、判断が早い

基本ミーティングは15分〜30分で終えます。

方向性やアイディアをミーティング内で出し(常にorミーティングを入れられた時点から各々考えているなどで、みんなその場でパッとアイディアが出せる)、方向性をその場で「よしこれで!」と決定。

その方向性で全員数日以内に具体案を出すように。て終わることが多かったです。その後に案を出すときは基本タスク管理ツール内で、各自テキスト+リンクや参考画像をどんどん出していきます。何度も何度も同じトピックに対していちいちミーティングはやりません。

ミーティング前に「こういう準備をしてきてね」などはたまにしかないのですが、みんな何か発言するので自分もチームの一員としてアイディア出せるように準備していました。

日本人だからって日本だけの担当ではない

これは小さめの会社であるあるなのですが、韓国や中国などアジア全体を担当させられることも多いです。
言葉が違えど「ヨーロッパと比べれば文化とかわかってるでしょ」という感じです。
私は韓国や中国のB2Bのやりとり、韓国人のインフルエンサーマーケティング、シンガポールのデザイナーとのコーディネーションをしました。

チームメンバーが少ない時期には、アジアに限らず、ポーランドのフェイスブック(翻訳さん使って)やグローバルの英語のTikTok運用も一時期任されてました。

個人的には、チャンスがあるなら、任せてもらえるなら、自分の付加価値をつけるためにそういう仕事も前向きに受けて頑張る方がいいと思います。日本市場を閉じることになっても会社にとって価値のある人間になれれば他の役割で働ける可能性があるので。

会社の文化

休みの取り方がえぐい

バケーション大好きな国民性なので、有給は全部キレイに消化します。
8月の1ヶ月丸々いない人もいるし、みんな2、3週間は普通に休みを取ります

過ごし方も贅沢な時間の使い方で、家族で海辺のコテージで3週間過ごす、など島やビーチでゆったり楽しむ人が多かった印象です。

これがスペインのめっちゃいいところだと思います。その人が休みの間はその仕事はストップします。それが社会の暗黙の了解なので「そういうもんだ」と相手の会社の人もわかってます。

私は日本人相手なので1週間の休み中もちょっとメディアの記事のチェックと承認とかしてましたT_T 逆に私に連絡が取れなくて超困らせてしまって人もいました。。カスタマーサービスの子が英語で対応してたけどテンパってた。休み後に知って、「だってMegumiはいなかったじゃない、だから仕方ないよ」と大変申し訳ない結果になりました。私が休みの期間はメルマガも全部英語になります笑

これと比べると日本は「休み」はあっても「バケーション」と言えるほどのものがないですよね。

夏の間は9-15で早く帰れる

スタートアップに多いのですが、夏は暑すぎるので、7月と8月は朝9時からお昼抜きで15時までの1日6時間勤務になります。
ランチ取りたい人はとって、16時までとかでもOKでした。
アフターファイブならぬ、アフタースリー
午後は市民プール行ったりしてました。スペインのシェアハウスは冷房がないのが普通のなので家にいるのも辛い・・。

社長に対してもタメ語

基本的に社長や上司に対してもtúと使うタメ語表現で、ミーティングやコールでよく聞こえなかった時や理解できない時は「Qué??(はぁ?え?)」的な言い方もしていてビビりました。

オフィスがクラシカル

会社は日本で言う銀座のような高級通りの、セラーノ通りにある建物の5階だったのですが、ケーブルガールズに出てくるような昔ながらの建物で扉も大きくて石の階段+古いエレベーターの建物でした。

トイレは二つ男女共用のものがあったのですが、元住居のようで、一つはお風呂の浴槽がある広い部屋でした笑
浴槽内にトイレットペーパーやキッチンペーパーのストックが山積みでした。

キッチンの排水管が詰まり、自分たちで外して掃除したこともあります。
倉庫もあり、屋根裏部屋のように天井が斜めで、床は木屑が落ちてて薄暗い部屋でした。

自分の誕生日にはお菓子を持って

ヨーロッパだと自分の誕生日はみんなをもてなす日で、誕生日会なども自分が主催して全部払うパターンが多いのですが(学生は流石に無理なのでそれぞれ払いが多い)職場ではお菓子を持ってくることが多いです。

マドリードにある美味しいミニクロワッサン屋さんのクロワッサンが人気で、一箱40個入りのものをキッチンにドーンと置いてる人が多かったです。フランス人の子は、手作りのクレープとヌテーラの瓶を置いていました。
私はちょうど誕生日の1週間にコロナでロックダウン、リモートワークになったのでタイミングが外れて何もしませんでした。寿司でも巻いていこうかと思ってたんですが。

イベントもあるよ!

社員イベントやスタートアップらしい金曜飲みなんかもありました。

月に一回会社ミーティングの前にピザランチがあり、大量のピザを注文してみんなで立ち食いしながらおしゃべりしてました。
また、月一くらいで同じ建物の一階にあるバーカウンターもあるおしゃれな店で、軽く飲む会がありました。社長がおごってくれたりする。
クリスマスには、みんなでメキシカンのお店にディナーに行き、そのままクラブでカラオケ大会してましたw
入社してすぐの5月には一泊二日の社員旅行もあり、自然のあるマドリード郊外で、カヌー体験&山登り、仮装コンテストに、夜は朝まで踊って飲んでました。

社長と創業メンバーが仲良くて新人に優しくない

8年前にできた会社の初期メンバーと社長や幹部はすごいべったりで仲が良く、プライベートでもよく家飲みしているような関係です。
その人たちと我々のような後から入ったメンバーには壁があり、社長たちはみんなに対して仕事上ではフレンドリーでしたが、べったりの一般社員たちは、他の人とランチしない、基本あまり話さない、ツンツンした態度などで、たまに笑顔でフレンドリーっぽい発言をしてくることもありましたが、表面的なのがありありで仲良くなろうという気が全然感じられませんでした。

私は同期が2人いたのでよかったのですが、私の少し前に1人で入ってた子は「いつものけ者っぽい感じがしてた。Megumiたちの代が入ってきて本当よかった」と言ってました。

これ普通なのかなと思って英語でググったらスペインの企業ではある程度こういう昔ながらのメンバーとトップだけがべったり仲が良いというのがあるようです。

意外とクビにされない

私はスペインに行く前に、スペインの広告代理店で働いていた日本人の知り合いにすごい脅されてました笑

彼は一年働いた中で何人もクビにされるのを近くで見てきて、社長に呼ばれて戻ってきたらもうパソコンにログインできなくなってるとか、バケーション中にクビにされてるとかあったらしいです。部署の上司とウマが合わずクビなんていうことも。
また、他のワーホリ経験者で2ヶ月で成果を出せずにクビになったというブログも見ていたので本当に入社当初からビクビクしていました。

自分がいきなりクビになるかも、と考えると日本の会社さんとの共同のマーケティング提案とか怖くて踏み切れないことが多かったのが残念です。結果、そうそう簡単にクビにはならなかったので、一年目からもっとガンガン頑張ればよかったなぁという反省があります。

穏やかに辞められた

通常は辞めることを宣言orクビになってから数日〜2週間で退職することが多いのですが、私は異例で辞めることが決まってから1ヶ月半以上働いてました。辞めなければいけなくなった理由は、日本市場の縮小に伴いポジションをなくすということでした。
詳細はこちらの記事です。

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その他私が感じたこと

スペイン人は言語化するのが苦手

説明がないことが多く、後から「えっ、それってちゃんとルールがあって、こうしないといけなかったの?!」ということがめちゃめちゃありました。最初の半年は日本の人に対して謝罪しまくりだったなぁ。

何かを始めるにあたって、「これってどうしたら良いとかありますか?」と聞いていても説明されないことが多く、悪意があるわけでなく事前に細かく説明する文化が少なく、ざっくりしていることが多いからなのか言語化できないんだな、と感じました。
これは会社や個人によって違うと思いますが!

やっぱり楽しい

色々マイナスな部分も書きましたが、楽しいこともすごくたくさんありました。

ちょっと昔の日本ぽいですが、新入社員は入社月の全体ミーティングで歌うかジョーク、または一芸など何かしないといけないのですが、入社早々マジックハットとマントに身を包みマジックする人や、踊り出す子、歌う子などなどいて表現力豊かで面白いな〜と楽しんでました。ジョークは大体いつも理解できず悔しい。
私は歌いながら折り鶴折りました。

自分の語学力・コミュ力の不足は常に感じる

毎週のマーケティングレポートもスペイン語で言えるようになったし、ミーティングの仕事内容は大体はわかるけど、ジョークとか雑談はわからないことが多く、これは最後まで難解でした。聞き返すとわかりやすく言い直してくれることもありますが、毎回は聞けないので大事なことだけ聞いてました。
ネイティブじゃないので自分の語学力に満足することはありませんでした。

めっちゃ直してくれる親友や彼氏のような存在があるといいんだろうなと思います。私はペルーではスペイン語指導経験のあるそんな友達に出会いましたが、スペインでは出会えませんでした。

日本の文化って本当に珍しい

まだまだ折り紙とか、日本語とかすごい珍しい感じです。
ちょっと教えるだけですごく喜んでくれます。みんな無邪気で可愛いです。

2回ほど社内イベントを企画し折り紙クラスをやった時も感動して喜ばれました。
仲のいい子達とは寿司ナイトも企画して何回かしましたが、みんな大興奮で可愛かったです笑

入社してすぐに、デザインチームに日本サイトのローカライズのために日本語についてのプレゼンをしたときも、ひらがなとカタカナと漢字の存在に「¡¡Madre mía!!(オーマイガッ)」と驚いてました。
社内に日本人がいるってだけですごいインターナショナルな会社にいると感じられるようです。

次のステップへ向けて

Reference letterをもらっておく

辞める1週間前に社長に推薦状のサインをもらいました。
社長は忙しくて文章を書くとかしないので、自分で自分を褒め称えるRecommendation Letter/Reference Letterを作って、サインだけお願いしました。
サインしてくれるかドキドキだったのですが「もちろん!今までありがとう」と快くサインしてくれました。

この会社とはお互いに、「また日本市場が大きくなるときには声かけてね」「声かけるね」と言って温厚に契約終了しました。
こういう約束は大抵叶うことがないのですが、仲良く終えられたのはお互い気持ちいいのでよかったです。

項目が多くなりましたがいかがだったでしょうか?

私も事前に経験者に話を聞いていて、メンタル面や仕事への姿勢でかなり助かったので、この記事がこれから海外で働く人の参考になれば幸いです♪

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この記事を書いた人

旅するフリーランス。外資系でマーケ。元米国ディズニー勤務。イギリス留学、スペインワーホリ経験者。海外経験やグローバルキャリアの発信をしています。趣味はダンスと旅行で、渡航国は約50ヵ国。ブラジルで海に目覚め、エジプトのダハブでダイビングの資格取得しました。世界中の海で潜るのが夢。
詳しいプロフィールはこちら!

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 首にされないは当たり前フランスやスペイン、ドイツ等は日本よりも雇用者に優しい。
    なので正社員になりづらい

    • コロナになった時に、国が国民・雇用者に対しての保障が手厚いなと思いました。
      私はたまたま正社員になれたのですが、フランスやドイツでも難しいんでしょうか。

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